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02-03年トニー賞予想
現地時間 5月 12日の朝に発表されたトニー賞ノミネーションに基いて、ミュージカル関連の受賞予想と僕の投票を書きます。
過去 5シーズンの予想結果はこちら→97-98年、98-99年、99-00年、00-01年、01-02年。
このトニー賞受賞予想、半分はお気楽な遊びですが、残りの半分は、自分の書いた観劇記を読んでいただくための方便です。予想が当たるかどうかとは別に、なぜそう予想するのかの背景を、観劇記を読んで知っていただきたい。当たっても当たらなくても、僕の予想記事には、その根拠を読む楽しみがあるのです。――と、昨年同様のアピールをして、さあ、今年も予想に入ります。
これも毎年の決まり文句ですが、トニー賞は興行成績に直接影響が出るのでプロダクション側にとっては重要だけれども、選考には政治的判断による偏りもあるので、観客である我々にとっては“話のタネ”に過ぎません。必ずしも作品選びの基準にはならないことも、心に留めておいてください。
まず、いきなりお詫びですが、作品賞を含めいくつかの賞の候補になっている『アムール』を僕は観ていません。また、『ムーヴィン・アウト』は観た回が水曜マティネーで主演クラスの大半が代役だったため、ここで候補に挙がっている出演者たちの幾人かは目にしていません。なので、例年より判断の根拠が薄弱なカテゴリーが多くなっています。
にもかかわらず、ここで断言。今シーズンは『ヘアスプレイ』の年です。
下のリストを見てもわかる通り、とかくオリジナルよりリヴァイヴァルが多く上演されがちなブロードウェイ・ミュージカル不調の時代にあって、昨年の夏の終わりにスタートして以来、ずっと人気作として観客を集め続けているブロードウェイ産のオリジナル作品が『ヘアスプレイ』。ちょっとカルトな香りはしますが、内容の充実度から言っても、『プロデューサーズ』クラスの作品と言っていいでしょう。
そんなわけで、判断に迷う時には『ヘアスプレイ』中心の投票にしました(笑)。『アムール』ファン、『ムーヴィン・アウト』ファンの方、ごめんなさい。
審査員の投票予想に★、僕の投票に●を付けました。例年通りタイトル、人名は原語表記です。
作品別ノミネーション数は次の通り(▲はリヴァイヴァル。◆の観劇記は未アップ)。
- 作品賞
『AMOUR』
『HAIRSPRAY』★●
『MOVIN' OUT』
『A YEAR WITH FROG AND TOAD』
- リヴァイヴァル作品賞
『GYPSY』
『LA BOHEME』●
『MAN OF LA MANCHA』
『NINE』★
- 主演女優賞
Melissa Errico 『AMOUR』
Mary Elizabeth Mastrantonio 『MAN OF LA MANCHA』
Elizabeth Parkinson 『MOVIN' OUT』
Bernadette Peters 『GYPSY』
Marissa Jaret Winokur 『HAIRSPRAY』★●
- 主演男優賞
Antonio Banderas 『NINE』★
Harvey Fierstein 『HAIRSPRAY』●
Malcolm Gets 『AMOUR』
John Selya 『MOVIN' OUT』
Brian Stokes Mitchell 『MAN OF LA MANCHA』
- 助演女優賞
Tammy Blanchard 『GYPSY』
Jane Krakowski 『NINE』●
Mary Stuart Masterson 『NINE』
Chita Rivera 『NINE』★
Ashley Tuttle 『MOVIN' OUT』
- 助演男優賞
Michael Cavanaugh 『MOVIN' OUT』
John Dossett 『GYPSY』
Dick Latessa 『HAIRSPRAY』★
Corey Reynolds 『HAIRSPRAY』●
Keith Roberts 『MOVIN' OUT』
- 演出賞
David Leveaux 『NINE』
Baz Luhrmann 『LA BOHEME』
Jack O'Brien 『HAIRSPRAY』★●
Twyla Tharp 『MOVIN' OUT』
- 振付賞
Robert Longbottom 『FLOWER DRUM SONG』
Jerry Mitchell 『HAIRSPRAY』●
Melinda Roy 『URBAN COWBOY』
Twyla Tharp 『MOVIN' OUT』★
- 楽曲賞
Michel Legrand & Didier van Cauwelaert, Jeremy Sams(English adaptation) 『AMOUR』
Willie and Robert Reale 『A YEAR WITH FROG AND TOAD』
Marc Shaiman & Scott Wittman 『HAIRSPRAY』★●
Various composers 『URBAN COWBOY』
- 脚本賞
Didier van Cauwelaert, Jeremy Sams(English adaptation) 『AMOUR』
Mark O'Donnell & Thomas Meehan 『HAIRSPRAY』★●
Willie Reale 『A YEAR WITH FROG AND TOAD』
David Henry Hwang 『FLOWER DRUM SONG』
- 編曲賞
Billy Joel & Stuart Malina 『MOVIN' OUT』
Nicholas Kitsopoulos 『LA BOHEME』★
Jonathan Tunick 『NINE』
Harold Wheeler 『HAIRSPRAY』●
- 装置デザイン賞
John Lee Beatty 『DINNER AT EIGHT』(play)
Santo Loquasto 『LONG DAYS JOURNEY INTO NIGHT』(play)
Catherine Martin 『LA BOHEME』★●
David Rockwell 『HAIRSPRAY』
- 衣装デザイン賞
Gregg Barnes 『FLOWER DRUM SONG』
William Ivey Long 『HAIRSPRAY』★
Catherine Martin & Angus Strathie 『LA BOHEME』●
Catherine Zuber 『DINNER AT EIGHT』(play)
- 照明デザイン賞
Donald Holder 『MOVIN' OUT』
Nigel Levings 『LA BOHEME』★●
Brian MacDevitt 『NINE』
Kenneth Posner 『HAIRSPRAY』
作品賞に『アムール』が入ったのには参ったが、まあ、 4本挙げなくちゃいけないからな。ここは揺るがないだろう。『ヘアスプレイ』で決まりということで、よろしく。
万が一にもないことだが、もし『アムール』が獲ったら、四季は『壁抜け男』の宣伝で“トニー賞受賞のブロードウェイ・ミュージカル”とかって謳うだろうか。
リヴァイヴァル作品賞は、『ラ・マンチャの男』以外のどれかだと思うが、その他のカテゴリーのノミネーションを見る限りは、『ナイン』が最有力か。
僕の 1票は、美しきラーマン・マジックの『ラ・ボエーム』に。
主演女優賞は、大冒険で『ヘアスプレイ』のメリッサ・ジャレット・ウィノカー 1本に絞ってみた。
なにしろ、メリッサ・エリコも(作品未見)エリザベス・パーキンソンも(代役)、そしてバーナダット・ピータースも(代役)観ていないので投票の幅が狭くなるのだが(笑)、作品の勢いと若い才能に 1票を審査員も投じると信じて。
主演男優賞は、この人がいなければ(いなくなったらどうするの?)作品の成功はありえなかったという意味で、僕はフィアスタインに 1票。
もしかしたらフィアスタインを男優だと判断しない審査員もいるかもしれないので、その場合はアントニオ・バンデラスか。ジョン・セリヤもよかったが、歌わないからな。メリッサ・エリコの場合同様、マルコム・ゲッツは作品そのものを未見なので判断不能。
助演女優賞は『ナイン』の 3人の争いか。主演女優候補でもよかったと思うような扱われ方のチタ・リヴェラが審査員たちの最有力か。メアリー・ステュアート・マスターソンも悪くなかったし、個人的にも好きな女優なのだが、どうだろう。映画的知名度で獲る可能性もなくはないが。
僕は、ジェイン・クラコウスキーのダンサーらしさを生かした熱演に 1票。『ムーヴィン・アウト』のアシュリー・タトルは未見。
助演男優賞。ここも『ムーヴィン・アウト』組は未見。ちなみに、マイケル・カヴァナーはピアノを弾いて歌う人で、キース・ロバーツがダンサー。
迷うので、今回の原則にしたがって(笑)、『ヘアスプレイ』の若者に僕の 1票を。そして、『ヘアスプレイ』のベテランに審査員の 1票を強引に(笑)。
演出は、僕の中では『ラ・ボエーム』か『ヘアスプレイ』しかない。オペラの名作を、新鮮な美しさでよみがえらせたバス・ラーマンは、やはり素晴らしい。僕のジャック・オブライエンへの 1票は、この妙な作品をよくぞブロードウェイで通用させた、という感嘆票。
残る興味は、ロンドン流のデイヴィッド・ルヴォー演出がどう評価されるか、だ。
(この項の表現、昨年の演出賞のところと比べてみてください。)
振付は、やはりトワイラ・サープに行くのか。
『フラワー・ドラム・ソング』のショウ場面も好きだが、やはり僕は『ヘアスプレイ』の若々しさを支持したい。
楽曲は、 100%『ヘアスプレイ』。
『ふたりはずっと』(って『A YEAR WITH FROG AND TOAD』のことですが)もよかったけどね。
脚本も『ヘアスプレイ』で決まり。
あえて対抗馬を挙げると、政治ネタを入れて現代化した、冒険的な『フラワー・ドラム・ソング』だが、成果は今ひとつだった。
編曲。うーん、どうなんだろう。迷うので『ヘアスプレイ』にするが、『ラ・ボエーム』という線もありか。
『ムーヴィン・アウト』はビリー・ジョエルのオリジナルをなぞっただけでしょ。
装置、衣装、照明は『ラ・ボエーム』で攻めてみた。特に、装置と照明は(プレイは観てないが)決定的。
対抗は『ヘアスプレイ』の衣装。
なお、『ラ・ボエーム』のプリンシパルたちが特別賞をもらっています。だったら、『ムーヴィン・アウト』の人たちもそれでいいんじゃないの? と思うのは、メイン・キャストを観られなかったひがみでしょうか(笑)。
トニー賞の発表は現地時間の 6月 8日(日)夜です。
(5/14/2003)
トニー賞の結果はこちら。
Copyright ©2003 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro
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