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劇場通いを止めるのはもはや死ぬときだ!

「ゲキもは」の命をつなぐ最後の一葉
いやあ、こういうことって、まあ、あって当然なんだけど、自分の身に起こると感慨がありますねえ。
NODA・MAP『キル』のチケット、売れ残った最後の1枚、僕がゲットしました。
例えばです。
西武新宿駅の改札(大きい方)を入ると左手に特急券の自動販売機があります。で、次に発車になる特急の指定席券を売っていて、全席指定なので途中で売り切れるわけです。その残り枚数が、販売機の上に電光掲示されるんですね。
だから、残り少なくなってくると自分が買えるかどうかわかるんです。
「あと5枚」と出れば並んでいる5人目までは買えるけど、6人目以降は買えない。当然ですよね。
逆に言うと、今、自分が最後の1枚をゲットした、というのがわかるわけです。
でも、劇場のチケットの場合、こういう機会少なくありませんか。それも、1か月半にわたる公演の最後の1枚がそこにある、なんてこと。
天啓とでも言うのでしょうか(盛り上げるために大げさに言ってます)。8月11日の午後5時半頃、突然 Bunkamuraチケットセンターに電話したのです。やっぱ『キル』、観ておくか、と思って。
とは言え人気作品ですから、ダメもとだな、と自分に対する慰めも用意してはいました。
トゥルルルー、ガチャ。
「はい、Bunkamuraチケットセンターでございます」
「おうかがいしたいんですが、『キル』のチケットはまだ手に入りますか?」
悪い予想「申し訳ございません。完売いたしました」
いい予想「何日がご希望でございますか?」
一応、いい方だった場合に備えて「何日なら残っていますか?」という応答を用意する。
ところが――。
「19日のチケットなら1枚だけございます。A席6000円のお席ですが」という予想外の答に、「19日が1枚だけ?」と意味のないオーム返し。
すると、とまどうこちらの心を知ってか知らずか、追い打ちをかけるようにオペレーターのお姉さんは、あくまでていねいに、こう付け加えた。
「Bunkamuraの会員(正確な表現ではないかもしれません)の方ですか? (僕『いいえ』)その場合は申し訳ございませんが電話予約が出来ませんので、Bunkamuraのカウンターまでおいでいただくことになります。ただ、いらっしゃった時に残っているかどうかはお約束できないのですが」
この最後のひと言が僕の「ゲキもは」魂に火をつけたのですねえ。
やりかけの仕事をそのままに、オフィスを出て地下鉄に飛び乗りました。でも、不思議にあせりはなかったなあ。
とは言え、渋谷で電車を降りてからは、さすがに早足になりました。あれって、なぜでしょうね、近づいてくるほどドキドキしてくる。
で、初めに言ったように無事ゲットできたのですが、カウンターで平静を装う自分がおかしかった。
「先程、電話で『キル』の19日のチケットが……」
顔は平気でも、出てくる言葉は早くも乱れ始めています。
よく考えたら、必死で駆けつけたのはバレバレなんですよね。電話したことバラしてんですから。
幸いカウンターの女性が「ああ」とすぐにわかってくれて、僕の1人芝居は幕を下ろしたのですが、でも、その時はホッとした。心の中では、右肘を後ろに引きながら「イエス!」って叫んでました。
そんなわけで、ちょっとばかし思い入れが出来てしまった『キル』チケット。なんか点数辛くなりそうな予感が今からします。
(8/14/1997)
※『キル』のレヴューはこちら。
Copyright ©1997 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi
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