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[ゆけむり通信Vol.58]
4/21-4/25/2004
メイストームに行き会うこともなく、穏やかな天候の日々だった今回のニューヨーク。
木曜の昼にニュージャージーの劇場に遠征するので 1本多く観られる、という渡米前の予想を大きく超えて、ご覧の通り 5泊で 11本。 1日 1本しか観なかったのは到着日のみという効率のよさ。タイムアウト誌の情報のおかげで貧乏性の本領が発揮された(笑)。
新たに観た今シーズンのブロードウェイ登場作は、オフからオンに移った『キャロライン、あるいはチェンジ』、ロンドンでパスした『ボンベイ・ドリームズ』、オフ作品のリヴァイヴァル『アサシンズ』、往年のヒット作のリヴァイヴァル『屋根の上のヴァイオリン弾き』の 4本。これでトニー賞の対象作は、ひとまず網羅。後はノミネーションの発表を待つばかりとなった……って、別に関係者じゃないんですが(笑)。
残りのオン作品、『ワンダフル・タウン』と『アヴェニューQ』は、今回観逃すと再見の機会を失う予感がして、急遽最終日に入れた。ホントは、終わりの決まっている『ジプシー GYPSY』も観たかったのだが。
その他は、『ジャニー・ギター』がオフの新作、『カーニヴァル・ノウレッジ』は以前から気になっていたオフの非ミュージカル作(サイド・ショウを自称)、『ベイビー』がニュージャージーでの限定リヴァイヴァル、楽曲作者ジェイソン・ロバート・ブラウンと女優パティ・ルポンの名前を冠した 2本が、それぞれのライヴ。
『キャロライン、あるいはチェンジ』は、昨年秋に観たプレヴューですでにそれなりの充実ぶりを見せていたオフ作品が、そのままオンに移行。練られて、さらに濃い舞台に仕上がっていた。
『ボンベイ・ドリームズ』は、インドが舞台のロンドン産。緩い脚本による“あざとい”作品で、ロンドンで観なくて正解だった。装置に金かければいいってもんじゃない。
『アサシンズ』は大統領暗殺者たちの話なので、ここに到るまでに世論との折り合いで紆余曲折があったと言われる作品。陽気なヴォードヴィルのスタイルをとりながらも、確かに不穏な空気が漂う。役者の演技合戦の様相があり、一見の価値あり。
『屋根の上のヴァイオリン弾き』は、『ナイン NINE』を成功させたデイヴィッド・ルボー David Leveaux の演出で、装置・照明やオーケストラの扱いに新鮮さがあるが、作品が元々持つイデオロギーが普遍性を持たないので、違和感が残る。
『ジャニー・ギター』は、徹頭徹尾ジョークで通した西部劇パロディ・ミュージカル。よく出来ていて、笑えるし、役者もいい。
『カーニヴァル・ノウレッジ』は、アメリカのエンターテインメントの下世話な源流を見せてくれるショウ。一度は体験しておきたい。
『ベイビー』は、 3組の男女の愛の行方を妊娠をめぐる日常の中で追う、ある種のコンセプト・ミュージカル。設定や楽曲の 80年代的印象がやや古く感じられるが、いい楽曲がいくつかあり、役者もうまかった。
ジェイソン・ロバート・ブラウンのライヴは、根っこにロックンロールを持つシンガー・ソングライター的気質がストーリーテラーの才能とうまく合体していることを確認させてくれた。次の作品が早く観たい。
パティ・ルポンの方は、傷心の女をテーマにドラマティックに歌を聴かせる、小さなクラブでの沁みるライヴ。感動。
『ワンダフル・タウン』と『アヴェニューQ』は、トニー賞ノミネーションを前に客席も舞台も盛り上がっていて、大いに楽しんだ。
(4/29/2004)
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