2月11日19:00
『イン・ザ・ハイツ IN THE HEIGHTS』◆
37 ARTS(THETATRE A) 450 West 37th Street
※◆マークは観劇記がアップされていません。
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寒いニューヨークに、最近では珍しく短い 4泊の予定で飛んだ。目当ては、クリスティン・チェナウェス Kristin Chenoweth 主演の『アップル・トゥリー』の期間限定公演と、ビビ・ニューワースがロキシー役で戻った『シカゴ』という、この時期でないと観られない 2本。
それらを含む 4本を予約してあったので、チケット買いに出回る必要もあまりなく(tktsには 2度行ったが、この季節は夕方ならほとんど並ばずにすむ)、劇場に行く以外は部屋でおとなしくしていた。おかげで、日本でひきかけていた風邪も悪化せずにすんだ。若くなくなると何事も身体と相談、てな感じですね。
今回観たブロードウェイの新登場作品は、『アップル・トゥリー』のみ。それ以外は、『シカゴ』を除けば全てオフ作品(ベティ・バックリーはコンサート)。スケジュールに余裕があったようにも見えるが、オフの新作は他にもあり、実際には迷った末の選択で、後悔しているところもないではない。“帰ってきた”『レ・ミゼラブル LES MISERABLES』は今回もパスした。
後悔したのは『ファンタスティックス』。ごぞんじ世界最長のロングランを記録したオフ・ブロードウェイ・ミュージカルの“早過ぎる”リヴァイヴァルだが、実際はリヴァイヴァルと言うより劇場を移しての引っ越し公演と言った方がいい。それほど、何も変わっていない。後悔した理由は、その変わらなさにある。まあ、演技の水準が低いわけではなく、よく出来た舞台であることを再認識もしたのだが、勝手に新演出を期待していたので、その分がっかりした。
その点、『シカゴ』は、 10年を経たものの、作品の象徴的存在であるビビ・ニューワースをロキシー役に迎え、最初期の頃の輝きを取り戻していて、素晴らしい。観るなら今。
『若草の頃』という邦題は、もちろんジュディ・ガーランド Judy Garland 主演の 44年の映画版に付けられたものだが、その舞台版を観たのは 90年の 5月 24日、ガーシュウィン劇場。舞台上を走った電動のトロリー・カー以外は印象の薄い、失敗作だった。今回は、小さい舞台に相応しく、ザックリと刈り込んで手堅くコンパクトにまとめてあり、楽しく観た。元々が家庭劇だがら、こっちの方が本道なのかも。
『ザ・ビッグ・ヴォイス:神かマーマンか?』は、エセル・マーマンの舞台を観て自分の生きる場所を見つけたゲイの少年の物語。その少年とは、 2人の出演者の内の 1人で、脚本も書いたジム本人であり、ジムが出会って共に暮らすことになる“親友”スティーヴを演じているのが、楽曲作者兼キーボード奏者でもあるスティーヴ本人である、という“告白的ミュージカル”で、ほとんどスタンダップ・コミックのノリで辛辣と笑いの間を行き来する。ゲイの少年を救ってくれたのは神ではなくマーマンだった(彼は神職に就こうか舞台に立とうか迷う)というユーモラスな真理が胸に迫る。
ルッキンググラスという名のシカゴの演劇集団が演じる「不思議の国のアリス」だから『ルッキンググラスのアリス』。サーカス的な体技と演劇的驚きとを融合させた、ユニークな舞台。劇場が劇場なので観客の多くが子供のため、中盤、客席の緊張感が途切れる場面もあったが、よく考えられ、訓練された面白い舞台だった。
『アップル・トゥリー』は、『シカゴ』同様シティ・センター“アンコールズ!”シリーズでの上演を経てのブロードウェイでのリヴァイヴァル。作品自体は、男女の恋愛を題材にした 3幕のスケッチ集といった趣の、まあ、どうということのない内容のもので、観どころは、今や人気女優となったチェナウェスの名“ミュージカル・コメディエンヌ”ぶりのみ。もちろん、それは観る価値が充分にある。
『イン・ザ・ハイツ』は、マンハッタンのワシントン・ハイツを舞台にしたキューバ系住民の話。なので、音楽はサルサを軸に、時にヒップホップの方にまで振れる。設定は現代だが、どこかノスタルジックな雰囲気なのは、しみじみとした心温まるコミュニティを描いているせいか。内容に際立ったところはないが、楽曲もよく、後味のいい舞台だ。
ベティ・バックリーのライヴの舞台は、コロンバス・サークルの新しいビルの中にリンカーン・センターが作った、レストラン・シアターの趣を伴ったホール。ステージの後ろが全面ガラス窓で、セントラル・パーク・サウスの通りが見通せるという素晴らしい眺望。よき歌を、さらに気分よく聴かせてくれる器だった。
次回の渡米予定は 4月。今シーズンのブロードウェイの新作がズラッと出揃うからだが、もうすぐプレヴューを開始する『カーテンズ CURTAINS』が、それまで閉まらないことを祈る!
(2/21/2007)
Copyright ©2007 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro
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